学校の様子

過去の悲しみを未来へ 忘れてはいけない1月21日

今から13年前、宮沢橋たもとの五叉路交差点付近で、登校途中に自転車で信号待ちをしていた本校の生徒、山田隆広(やまだたかひろ)さんが飲酒運転による暴走車にはねられ亡くなるという痛ましい事故がありました。山田さんは当時1年生で、ラグビー部に所属していました。将来は教員になりたいという夢を持ち、勉強面でも一生懸命努力を積み重ねていた生徒だったと聞きます。夢と希望に満ち溢れた若き青年の命を一瞬にして奪ったこの出来事を私たちは決して忘れません。本校では、山田さんへの追悼の意と交通事故撲滅の祈りを込め、毎年1月21日を「忘れてはならない日」と定め、献花を行ってきました。

献花式には、学校長をはじめとする職員および生徒会執行部が参加し、生徒を代表して生徒会長より、校内に建てられている「鎮魂の碑」に花束が手向けられました。参加した生徒たちからは、「校地内にこうした石碑があることや毎年この時期に献花式が行われていることを多くの南高生に知ってもらいたい。また、自分に過失がなくても事故が起きることはあるが、南高生には登下校の際くれぐれも交通安全に留意して欲しいし、自分も十分注意にしたい」(生徒会長2年Y.Mさん)、「交通事故は多くの人々の悲しみを生む。自分一人だけの命ではないということを改めて実感した」(生徒会副会長2年T.Mさん)「もちろん今の自分たちが交通ルールを守ることも大切ですし、自分が将来、車を運転するようになった際にも絶対に事故を起こすまいと改めて思った」(生徒会副会長2年S.Aさん)などの声が聞かれました。

また同日、熊谷校長より「過去の悲しみを未来へ~忘れてはならない1月21日~」というタイトルで綴られた文書も配付されました。この出来事を風化させず、山田さんの遺志を継いでいくことが仙台南高校の使命です。各御家庭でも交通安全への一層の意識高揚を図っていただければ幸いです。

 

「過去の悲しみを未来へ ~忘れてはならない1月21日~」  宮城県仙台南高等学校 校長 熊谷聡也

平成23年1月21日午前7時55分頃、学校の近くにある根岸交差点で、ワゴン車が道路左側の歩道に突っ込み、信号待ちをしていた当時本校1年生の山田隆広さんら2人をはねました。ワゴン車は山田さんらをはねた後、幅約3メートルの歩道をそのまま直進し、約50メートル走って止まりました。頭などを強く打ち意識不明の重体だった山田さんは、市内の病院に搬送されましたが、午後に亡くなりました。ワゴンを運転していた人物からは、基準値の3倍を超える1リットル当たり0.5ミリグラムのアルコールが検出されました。

南高校で勉強や部活動(ラグビー部所属)に常に前向きに取り組み、充実した学校生活を送っていた山田さんの命が、一瞬にして奪われた悲しみは決して消えることはありません。今年で14年目を迎えますが、これからもこの事故を風化させることなく、生徒諸君にもあらためて交通安全に対する意識を高めて欲しいと思います。

今は一年中で最も寒く、路面の凍結や悪天候など道路状況の悪い時期です。また、日没も早く通学時には最も注意が必要とされる時期でもあります。交通ルールを守ることはもちろん、交通事故に巻き込まれる危険性もあるので、細心の注意を払い通学するよう心掛けてください。